「最近、子どもが急に食べる量を減らし始めた」「友達と比べて太っていると言い、夕食を抜こうとする」——中学生くらいになると、見た目や体重を気にする子が増えてきますよね。
親としては気持ちを尊重したい一方で、「成長期にダイエットをすると、身長が伸びにくくならない?」と心配になるのではないでしょうか。
結論からいうと、成長期の極端な食事制限はおすすめできません。思春期は身長だけでなく、骨・筋肉・血液など身体全体が大きく変化する時期です。必要なエネルギーや栄養素が不足すれば、健やかな成長に影響する可能性があります。
ただし、体重が健康上の問題になっている場合まで「何もしなくてよい」という意味ではありません。子どもの体格は大人用のBMIだけで自己判断せず、成長曲線や年齢、性別、これまでの増え方を見ながら、小児科などに相談して考えることが大切です。
この記事では、成長期のダイエットと身長の関係、避けたい方法、親が今日からできるサポートを、主婦目線でやさしく解説します。
成長期のダイエットで身長が止まるって本当?
「ダイエットをしたら必ず身長が止まる」とまでは言い切れません。身長は遺伝、思春期が始まる時期、睡眠、運動、栄養、病気の有無など、さまざまな要素に左右されるからです。
一方で、成長期は身体をつくるためのエネルギーと栄養が必要な時期です。食事を大幅に減らしたり、特定の食品を完全に避けたりして栄養不足になると、本来の成長を支える材料が足りなくなる心配があります。
大切なのは「体重を減らすこと」を最優先にするのではなく、成長に必要な食事を確保しながら、生活習慣を整えることです。
思春期は大人以上に栄養が必要になることも
思春期には、身長が大きく伸びる「成長スパート」があります。骨や筋肉が発達し、女子では月経が始まるなど、身体の変化が重なる時期です。
この時期に必要なのは、単に「たくさん食べる」ことではありません。主食、主菜、副菜を基本に、たんぱく質、カルシウム、鉄、ビタミンなどを幅広くとることです。
成長期の食事については、成長期にタンパク質が多い食材10選も参考にしてくださいね。
成長期に避けたいダイエット5つ
子どもが「痩せたい」と言ったときは、まず方法を確認してみましょう。次のようなダイエットは、栄養不足や体調不良につながる可能性があります。
1.食事を抜く
朝食や夕食を丸ごと抜くと、1日に必要なエネルギーや栄養素を確保しにくくなります。特に朝食を抜くと、学校で集中できない、部活動で力が出ないなど、日中の生活にも影響することがあります。
2.炭水化物を極端に減らす
ご飯やパン、麺類は、身体や脳を動かす大切なエネルギー源です。「太りそうだから」と完全に抜くのではなく、活動量や体格に合った量を食べることが基本です。
3.野菜やスープだけで済ませる
野菜は大切ですが、野菜だけでは成長に必要なたんぱく質やエネルギーが足りません。肉・魚・卵・大豆製品などの主菜と、主食を組み合わせましょう。
4.短期間で体重を落とそうとする
数日で大きく体重を減らそうとして、水分を控える、長時間運動する、サウナで汗を出すといった方法は危険です。特にスポーツの体重別競技でも、自己流の急な減量は避け、小児科医や管理栄養士などに相談しましょう。
5.サプリやダイエット食品だけに頼る
「飲むだけ」「置き換えるだけ」とうたう商品が、成長期の子どもに適しているとは限りません。自己判断で使わせず、必要性がある場合は医師や薬剤師に相談してください。
こんな変化があれば早めに気づいて
ダイエットが行き過ぎると、体重の数字以外にも変化が表れることがあります。
- 短期間で体重が大きく減った
- 食事を極端に怖がるようになった
- 家族と食事をせず、一人で食べたがる
- 食べた後に長時間運動する
- 疲れやすい、立ちくらみが増えた
- 集中力が続かず、イライラしやすい
- 女子で月経が止まった、または乱れた
- 寒がる、便秘になる、髪や肌の状態が変わった
- 体重やカロリーの話ばかりする
一つ当てはまっただけで摂食障害とは限りません。ただ、変化が続く、食べることへの不安が強い、体重が急に減るといった場合は、叱ったり説得だけで済ませたりせず、早めに小児科や専門機関へ相談しましょう。
体重が気になる子に親ができる7つのこと
1.まず気持ちを聞く
「ダイエットなんて必要ない」とすぐ否定すると、子どもが悩みを話さなくなることがあります。「何か言われたの?」「いつから気になっている?」と、理由を落ち着いて聞いてみましょう。
2.体重ではなく健康を目標にする
「○kgまで減らそう」ではなく、「朝すっきり起きられる」「部活で最後まで動ける」「毎日お通じがある」など、体調や生活を目標にすると取り組みやすくなります。
3.3食を基本にする
完璧な献立でなくても大丈夫です。おにぎりと卵、パンとヨーグルト、納豆ご飯と味噌汁など、忙しい日は簡単な組み合わせから始めましょう。
4.お菓子を禁止しすぎない
完全禁止にすると、隠れて食べたり、食べた後に強い罪悪感を持ったりする場合があります。量や時間を家族で相談し、食事を整えたうえで楽しむものとして扱いましょう。
5.家族で身体を動かす
体重を落とすための罰のような運動ではなく、散歩、自転車、ダンス、ボール遊びなど、楽しめる活動を選びます。睡眠や気分転換にもつながります。
6.家庭で体型を話題にしすぎない
親が自分の身体を「太った」「醜い」と否定したり、きょうだいや友達と比較したりすると、子どもの体型への不安を強めることがあります。見た目よりも、成長していることや頑張っていることに目を向けて声をかけましょう。
7.成長曲線を確認する
一度の体重だけで判断せず、母子健康手帳や学校の記録を使って、身長と体重の変化を時系列で見ます。成長曲線から大きく外れる、急に体重が減る、身長の伸びが鈍くなるなどがあれば受診の目安になります。
「太り気味かも」と思ったらどうする?
成長期の体格は変化の途中です。身長が先に伸びる子もいれば、体重が増えた後に身長が伸びる子もいます。大人用BMIの数字だけで「太っている」と決めつけないようにしましょう。
健康上の理由で体重管理が必要な場合も、目標は必ずしも「体重を減らすこと」とは限りません。身長が伸びる間、体重の急増を抑えて経過を見る方法が選ばれることもあります。年齢や成長段階によって判断が変わるため、小児科で成長曲線を見てもらうと安心です。
よくある質問
Q.夜だけ炭水化物を抜いてもいい?
成長期に自己流で完全に抜くことはおすすめできません。活動量や食事全体によって適量は変わります。量が気になる場合は、主食だけをなくすより、甘い飲み物やだらだら食べを見直し、主食・主菜・副菜のバランスを整えましょう。
Q.部活をしていれば食事を減らしても大丈夫?
運動量が多い子ほど、活動と回復のためのエネルギーが必要です。食事を減らしすぎると、疲れが抜けない、集中できない、けがが増えるなどの不調につながる可能性があります。競技のために減量が必要と言われた場合も、自己流で進めず専門家に相談してください。
Q.身長のためにたくさん食べさせればいい?
たくさん食べれば必ず身長が伸びるわけではありません。特定の食品を大量にとるのではなく、適量をバランスよく食べ、睡眠や運動も含めて生活全体を整えることが大切です。睡眠については、子どもの睡眠と身長の関係もあわせてご覧ください。
受診・相談を考えたいサイン
- 短期間で目立って体重が減った
- 成長曲線から大きく外れてきた
- 食事をほとんどとれない
- めまい、失神、強いだるさなどがある
- 月経が止まった、または長く乱れている
- 吐く、下剤を使う、過剰に運動するといった行動がある
- 体型への不安が強く、学校生活にも影響している
最初の相談先は、かかりつけの小児科で構いません。必要に応じて小児内分泌、思春期外来、心療内科・精神科、管理栄養士などにつないでもらえます。意識がもうろうとする、失神した、胸が苦しいなど急な症状がある場合は、早めに医療機関へ連絡してください。
親子で確認したい生活チェックリスト
- □ 朝食を含め、基本的に3食とれている
- □ 主食・主菜・副菜がそろう日が多い
- □ 肉、魚、卵、大豆製品などを食べている
- □ 乳製品、小魚、青菜なども取り入れている
- □ のどが渇く前に水分をとっている
- □ 楽しめる運動や外遊びの時間がある
- □ 年齢に合った睡眠時間を確保している
- □ 体重や見た目について責める会話をしていない
- □ 身長と体重を成長曲線で見ている
全部を一度に完璧にする必要はありません。「まず朝食を抜かない」「夕食を家族で食べる」など、一つから始めてみてくださいね(^_^)
まとめ|成長期は「痩せる」より「健やかに育つ」を優先
成長期の極端なダイエットは、必要なエネルギーや栄養が不足する原因になります。身長だけでなく、骨や筋肉、月経、集中力、心の状態にも影響する可能性があるため注意が必要です。
親ができるのは、体重の数字だけを追いかけることではありません。子どもの悩みを聞き、3食を基本に食事を整え、楽しく身体を動かし、睡眠を確保することです。
体格が心配なときは、自己流の食事制限を始める前に、成長曲線を持って小児科へ相談しましょう。「痩せるべきか」ではなく、「この子が元気に成長するには何が必要か」という視点で、一緒に考えていけると安心ですね。
参考にした公的・専門機関の情報
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「若い女性の『やせ』と健康・栄養問題」
- 厚生労働省「摂食障害」
- 日本小児科学会「成長曲線からみた摂食障害」
- American Academy of Pediatrics「Childhood Nutrition」
※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、診断や治療に代わるものではありません。子どもの体重・食事・成長に不安がある場合は、医療機関へご相談ください。
